プロダクトがないほうが資金調達しやすい?




先日、プログラミングの師匠であるエランさんと久々にスカイプで話した。

ちなみに、エランは日本語とプログラミングのスキルエクスチェンジを一年間スカイプでやった関係である。

2年半前にPHPを独学で勉強し始めた時に、壁にぶちあたり、その時に日本語教えるからPHP誰か教えてと海外のPHPの掲示板で募集してみたら、親日家で年齢も一緒のエランがたまたま見つかったという経緯。

いやあ、今iPhoneの師匠をしてくれてるマシューもそうだけど、この時もやたらハイスペックな師匠が見つかって凄いラッキーだったと思う。

今、エランはBinpressというプログラミングのライブラリのマーケットプレイスを作るスタートアップをシリコンバレーでしている。彼はイスラエル人でイスラエルからアメリカに一年前に来たんだけど、アメリカで生まれたからグリーンカード持ってるらしい。いいなあ。

あ、ちなみに、エランの会社は今をときめく日本のスタートアップ、Wantedlyの仲さんがMagajinというサービスを作った時に開発を担当していたという経緯もあったり。関係ないけど、Wantedlyって本当にいいサービスですよね。

とりあえず、エランさんの紹介はここで終わる。



やっぱシリコンバレーはよいらしい

さて、シリコンバレーにイスラエルから移ったけど、そっちはどう?とか、そこにいる価値ってやっぱ凄いの?みたいな事を聞いてみたら、いろいろ話が面白くて、思った以上に話が長引いた。

一番面白かったのは資金調達の話なんだけど、シリコンバレーにいるとコネクションが半端ないよという話について書いてみる。

シリコンバレー以外の国でもスタートアップはできるけど、やはりスタートアップするにはベストな場所だと実感したらしい。なぜかというと、コネクションの広がり方が段違いに違うと。

例えば、シリコンバレーでサービスの話をするために誰かと会ったりすると、その人が自分のサービスに関係する人を5人教えてくれて、教えてくれた人に会ったら、また関係性のある人を5人教えてくれたりすると。

自分たちのサービスを進める上で重要なコネクションや、アドバイスを得られるスピードがイスラエルにいる時とは段違いで、イスラエルで2年かかった事が、こちらでは数ヶ月で進むみたいな感じらしい。



資金調達の話

それでは、ようやく資金調達の面白いパラドックスの話に移りたい。

ここまで引っ張っておいて、たいしたことないかもしれないけど、その時はご愛嬌ということで許して頂きたい。

これはエラン自身のスタートアップの経験や、周りの友達から学んだ事らしいけど、資金調達をする時は、プロダクトがない、もしくはβバージョンの初期段階のほうが簡単らしいのだ。

プロトタイプがないと厳しいんじゃないかと直感的に思ってたのだけど、ある程度のレジュメや、チームの実績があれば、プロダクトを作って実際の現実が明らかになる前に夢を見せたほうがいいらしい。

これはエランのお友達の話らしいけど、まず彼はあるサービスのβバージョンを小さく始めるために作って、ある程度のユーザも確保してたらしい。

しかし、この段階で投資家から資金調達しようとすると、そのサービスができ始めるとどうなるかという実際の現実が見え始めるため、よほどのホッケースティック的なユーザ数や利益の伸びが見れないと、現実を見せられた投資家は乗ってこなかったと。

そこで、次のサービスは実際のプロダクトのデータが取れるところまでは作らずに、チームとしての実績と将来はこうなるみたいな夢を売るように方向転換したら、すんなりと資金調達が成功した。やったあ。となったらしい。

Colorみたいに、プロトタイプを作った後に速攻で資金調達するのが一番いいのかも。数ヶ月して、実際のユーザデータとかわかった後だと夢が崩れる可能性が高いから。



プロダクトへの投資は大変

この話はなかなか面白い。YCombinatorの方針にもあるとおり、最初の投資で重要なのはチームであって、人間を重要視する。その時は、プロダクトはどんな形にも変化するだろうから、無限の可能性が広がる。

でも、ひとたび、その人達がサービスを作り始めて、凄い勢いでサービスが伸びない時、堅調ながら、比較的ゆっくりな成長を見せた時でも、現実を見せられた投資家側としては、投資する気持ちのノリが薄れる事が多いそうな。

かといって、エンジェル投資家側からすると、実際のプロダクトができて、サービスも凄い勢いで伸びた状態だと、安い投資額で株式はもらえないだろうから、初期状態に投資するにはこれでいいのだと思う。


とにかく、プロダクトに投資するには相当の説得力のある現実的なデータが必要なため、チームに投資するほうが楽ということらしい。なるほど。



Binpressについて

ちなみに、エランのBinpressはスノーボールのように確実に成長をしつつ、利益をあげていて、まだ自己資金で進めてるようです。

VCマネーなしで進めてるのは凄いなあって言ったら、シリコンバレーでも、Instagramとかセクシーなスタートアップが有名になるけど、実際は地味系のほとんどのスタートアップが自己資金でやってるよって言ってた。

iPhoneのコンポーネントだけ見てみたら、一年前に比べてものすごい数のライブラリが並んでいた。これは未来を感じる。


CocoaControlっていうサイトをiPhoneのライブラリ探す時によく見てるよって言ったら、そのサイトの運営者もお友達で、一緒に協力したりしてるよって言ってた。

これも、シリコンバレーのコネクションの力なのか、恐るべし。