【書評】他人と深く関わらずに生きるには


拷問読書今週3冊目。累計106冊目。久々に衝撃的な作品に出会ってしまった。文庫サイズでかなり薄い本なのに内容は激辛。おそらくこの本を読んだ人は、「いやあ、おもしろいなあ」ってなるか、「こんなの普通じゃ無理だよね」ってなるかの二通りだと思う。

著者の専門は生物学。進化の過程や生物学的な視点から、人間関係や生き方などの考え方に対して身も蓋もない展開で語っている。

しょっぱなから、「濃厚なつきあいはなるべくしない」というテーマで始まり、「おせっかいはなるべき焼かない」、「他人をあてにしないで生きる」、「退屈こそ人生最大の楽しみである」、「自力で生きて野たれ死のう」などなど極端な目次が続く。

国家は国民の道具であり、できるだけ規制を少なくするべきだというような主張を読んで薄々感じていたけど、著者はリバタニアン(自由主義差)の様子。政治の仕組みに対する提言なども後半になって出てくる。

■濃厚なつきあいはなるべくしない

「友はいつ分かれてもよいから友なのだ。いつ分かれてもよいという心構えでつきあっているうちに、結果的に三十年も五十年もつきあってしまった、というのが無二の友の真の姿である。」

著者によれば、相手をコントロールしないのが他人とつきあう上で一番大事であり、濃厚なつきあいをすればお互いの対称性が崩れるようです。だから、友とはなるべく淡々とつきあうのがよいと。

まあ、確かにお互い一緒にいて気楽だというの人同士が長く続く気がする。この身も蓋もない意見の中でもなかなか腑に落ちる部分があった。

■他人をあてにしないで生きる

他人に何かしてあげる時は、人はどこかで見返りを求めてやっていることが多い。恩を売った相手が何も返さなければ怒る人は下品であると著者は切り捨てている。だからこそ、誰かを助ける時は無理をしてはいけないと。

無理をした時点で打算的になり、なにかリターンがなければムカついてしまう。自分が好きでやったことが結果的に他人を助けるならば、リターンがなくても怒ることはないと書かれている。

実際に本書を読んでみればわかるけど、このように刺激的な内容が盛りだくさんであります。しかし、そのどれもがなんとも納得できる内容であると感じるのは自分が一人っ子で著者と似たような性格だからでしょうか。

■著者は通っている大学の教授だった

ちなみに、この人は自分の通っている早稲田大学国際教養学部の教授でもあった。授業評価や単位の取りやすさなどが書かれているマイルストーンという雑誌で調べると、学部の人気ランキングトップの教授でもあり、単位の楽勝さでもトップ。授業中の雑談がおもしろいらしい。他学部だけど今度こっそり授業にもぐってみよう。