2段階のユーザフィードバック

ユーザの声を聞きながらプロダクトを開発する時、2段階のフィードバックがあると最近思うようになった。一つ目はユーザにとって何が一番重要かどうかのフィードバックで、二つ目がユーザビリティのフィードバック。

この二つは重なる部分もあるのだけど、最近は頭の中でしっかり分けて考えるようになってきた。製品を作っていると、無数に実装したい機能があって、どれを優先するかは常にぐるぐる頭の中で回っていると思う。

そして、ユーザのフィードバックを聞いたり、観察したりしていると、ユーザごとに最適な優先順位が違うので一見混乱しがちであります。たくさんある選択肢の中で、どの機能の実装を優先させるかのタイミングを何度も自問自答していると、頭の中で整理されてきたのでその事について書いてみる。

始めに、ユーザにとって一番重要な部分はどこかのフィードバック。これが最も大切で、使う人にとって重要な問題を解決してないと、いくらユーザビリティを高めて、初心者がつまずかない体験を頑張って洗練させても使われない。

例えば、僕はスワヒリ語を習おうと思ってないので、素晴らしいユーザビリティと、最初の導入が神懸かり的に分かりやすいスワヒリ語学習アプリがあっても使わないはずだ。逆に、電車の乗換を調べたりする必要性はよくあるので、UIがしょぼい乗換案内でも必要だからよく使う。もっといい乗換案内ができたら速攻で落とすと思う。

というわけで、初期段階は一番最初から興味を持ってくれて、多少の細かい部分は目をつぶって使い続けてくれるユーザを探して、その人を優先して作るのが間違いないと思われる。

というのも、細かいユーザビリティを高めるのも、バグを潰すのも、ユーザを拡大させるための拡張機能やマーケティング、どれも時間がかかる。今使い続けてくれる人にとって何が重要な部分かを何度も考えまくって、優先順位を考えるのが大事だと自分に言い聞かせるように毎日お経を唱えています。自分が最初のペルソナなのでかなり有利だけど。

Lisgoの場合だと、iPodのような基本的操作性であったり、テキストのハイライトやオートスクロールだったり、オフライン機能。また、イライラするバグとか、こういうもの。

逆に、ユーザの層を拡大させようとすると、読み上げ音声の質、記事をどう取ってくるか、多言語に対応するとか。現時点で絶賛して使ってくれている少数の方々以外は、こういう部分がクリアされないと使わないだろう。

500StartupsのDaveが言うように、一般ユーザに広める質に達してない段階でバイラルマーケとか、拡大を狙うなというのは理にかなっている。「お前の製品はまだクソなんだから、クソなのに気にかけてくれるユーザに集中しろ。クソな段階で広めるな。」と、こんな事を言っていた気がする。

クソな段階で拡大を狙い、初期ユーザにどうでもいい機能つけて使いにくくなり、一時的な獲得できた新規ユーザも使ってすぐ離れられるという悲惨な事態だけは避けたい。もちろん、ずっと特定のユーザにこだわる必要はないのだけど。

またまた具体的にLisgoの例で話すと、だいたい4段階に分かれている。1段階目が最初のユーザにとって重要な基本機能。2段階目が記事の取得方法。3段階目が多言語対応。4段階目が能動的に記事なんて読まない層でも開いてすぐ使えるような初期体験とか。(FlipboardやPulseの最初のカテゴリみたいな)。

その先は高難度の根本的な音質向上やテキスト表現向上など。全体に関わって重要だけど、難度が高いから後回しにしているもの。ちなみに、Lisgoは第一段階がだいぶ進んできたので、もうすぐ第二段階に進めそう。グーグルリーダー対応かTwitterのお気に入りした記事リンクを取り込むようにする予定。

ちょっと前に気づいた事は、バグ修正でも優先度をつけたほうがいいという事だった。これは自分でも、バグ修正は優先度高いんだという錯覚に陥ってた。なぜならバグだから。

でも、37Signalsの記事で、取るに足らないものだけど修正がすぐにできないバグなら後回しにしてもよいと書いていて、知らず知らずのうちに陥っていた常識に気づいた。実は無意識に致命的じゃないバグは後回しにしてたけど、バグだから早く治さないとなという意識は常にあったからだ。

ここまで書いててすっかり忘れていたけど、2つ目のユーザビリティのフィードバックについて書きたい。これについては、自分の製品のドンピシャのターゲットの人が使うのを観察させてもらうのが理想ではある。でも、そこまで厳密に絞らなくても、ユーザビリティに関しては周りの人に普通にさわってもらうだけでも学べる事がいっぱいある。

自分の場合は、友達に自分のアプリを触ってみてもらい、出来る限り説明をしないで横から観察させてもらう。そうすると、どこで詰まるか、自分の予想した導線を最初に進んでいるか、それぞれの機能に気づいてくれるかなどがよくわかる。

ちょっと前までは初めて使ってもらう人を横から見れる絶好のチャンスがあっても、わざわざ操作方法を説明してしまってた。なんというもったいない事をしていたのだろうか。一度でも説明してしまうと、初めてのユーザがどこで詰まるかという貴重な情報が分かるチャンスを逃してしまう。アホだった。

あと、なかなか難しいけれど、出来る限りユーザが操作している時に何を考えているかを話してもらえると参考になる。外国人で開発者の友達にやってもらった時なんかは、あちらも理解があって詳しく話してもらいながら観察させてもらったので、自分でもびっくりするほどの発見があった。

やはり、フィードバックを得るというのは、自分の無知に気づくための過程だと思う。ダニエル・カーネマンも、人間は自分の無知な部分にたいして無知であると言ってるし。

さて、この時に気をつけているのは、ユーザビリティ向上のアップグレードも優先度を常に考えるということ。つまり、先ほど話したステップの段階で、自分の製品のステージがどの段階にいるかを考えて、初心者に優しい仕掛け作りに費やす時間を考えている。

製品がまだアーリーアダプター向けに基本機能を洗練させている段階なら、多少の説明不足の部分は目をつぶって、一番重要な部分に時間をかけたほうが合理的だ。もちろん、どんな人が使っても使いにくいユーザビリティは常に気をつけないといけないけど、最初のユーザー体験で絶対につまずかないような細かい手順の説明とかは後回しでいい。

つまり、携帯電話がまだ珍しかった時代だったとしたら、その時点で高齢者でも使えるような携帯電話を目指して、最初のユーザーエキスペリエンス向上に時間をかけるのは得策ではないということであります。

その時々のターゲットユーザによって最適なユーザビリティも変化するというのは、ゼロベースの石橋さんに去年説明してもらった。これは自分にとって凄く大きなアドバイスだった。それまでは、とにかく誰にでも分かりやすいのが正義だと盲目的に思ってたからだ。

プロダクトを作ってると、ユーザビリティと機能のトレードオフは常に考えないといけない。機能としては絶対あったほうが使いやすいけど、初めてのユーザには分かりにくいというような時、捨てるか残すかはその時のターゲットユーザの範囲で決めるしかない。

iPhoneのReederというアプリは、非常に競争率が高いRSSリーダアプリの中で一番人気だと思うけど、初心者への配慮はほとんどないに等しい。自分も最初戸惑った。もうちょい使い方が分かりやすくなる仕掛けを入れた方がいいのではないかとも思う。

でも、使い方さえわかればこれほどいいアプリはない。RSSリーダ使うようなITリレラシ高い人達には、Flipboardのような万人向けのものより、機能面で尖らせたアプリのほうが向いている。

簡単にまとめると、その人にとって重要な価値をもたらすかと、使いやすいかの二つのフィードバック。この二つを常に整理していると軸がぶれないのではないかと思いました。顧客開発とユーザビリティのフィードバックとも言い換えられるけど、知らず知らずのうちにごっちゃになりやすいと思う。

※参考リンク
Paul Buchheit at Startup School 08

Janice Fraser CEO LUXr Advice to future entrepreneurs

挫折確率を下げるプログラミングの覚え方

最近、趣味でiPhoneアプリやプログラミングを始めたいという人からお勧めの勉強法を聞かれる事が多くなってきた。そこで、挫折しがちなプログラミングの覚え方を考えた。どう最初の壁を乗り越えるかについて書いてみます。

ちなみに、僕は超文系で、数学も死ぬほど苦手である。プログラミングを始めたのは28歳すぎで、歴はちょうど2年。PHPから初めて、2011年の3月にiPhoneでObjectie-Cを勉強し始めた。主にネットと本の独学。

小さい頃からプログラミングに慣れ親しんでいるわけでも、理系だったりもないので、当初の「絶対、俺には無理だ、この呪文の羅列は向いてない!」という気持ちも覚えています。文系出身だったり、プログラミングは専門外すぎて無理だと思っている人向けにこの記事は参考になるかもしれない。

ちなみに、プログラミング始める前までの経緯とか、少なくともhtmlとかできたんですかとかもよく聞かれるけど、そういうのは気にしなくてよいのである。それより、楽しくなるかどうかが重要で、楽しくさえなれば、勉強という意識がなくなり持続する。持続さえすれば勝手に上達する。

楽しくなければ続かないし、楽しくない事を続けても人生楽しくない。だから、自分が欲しいものをいきなり最初に作るのがよい。他人を笑わせれそうとか、情熱が続けばなんでもいい。ちなみに最初に作ったものはどうせ途中で辞めるので、あまり長い期間の間に情熱が続くものとか、スタートアップ的には考える必要ないと思う。

よく、まずhtmlから勉強してみたらいいのかなという事も聞かれる。そういう一般的な手順はどうでもよいのである。自分が作りたいものを先に決めて、それに必要なものだけ逆算すればいいと思います。

なので、最初にどんな言語から始めればいいかとかは考えずに、作りたいもの、欲しいもの、情熱が続きそうなものを決めて、それに必要な言語を調べればいい。その頃には選択肢がある程度絞れているから、選ぶのも楽だし。

まず基礎から始めるかと考えて、データベースとか、なになにの基礎とか、猿でも分かるなんたらなんたらの本から始めるかとか、これとこれを読んだら分かるだろうと勉強チックな感じで進めると挫折確率が高まる。別に技術者試験のテストを受けるわけでもないし、CSの学位を取るわけでもないので、楽しく、挫折せず、継続させるの3点だけに集中するのがよい。

例えば、自分が欲しいものがモバイルアプリだったら、iPhoneとかAndroidアプリを作ればいい。Webサービスでもいいし、ゲームが作りたければゲームでもよいし。

自分の場合、本当に初めての時、実はプログラミングの入門書を買って、こつこつ毎日進めていた。死ぬほど退屈で苦行で、レッスン4ぐらいに進んだ頃にはレッスン2の内容は忘れていた。実践で書いてないから高速で内容が頭から消えて行く。いつ使うかも想像できないメソッドとかを順番に覚えるのもやる気がでなかった。

これで、2回ぐらい挫折しました。でも、めんどくさいから作りたいものを決めて、それに必要なものだけその都度調べるというやり方に変えると、一気に面白くなり今に至ります。確か、ポールグレアムのエッセイに、最初からいきなり作り始めろと書いてたのがきっかけだったような。

さて、情熱が続きそうなものは技術が難しすぎてできないよと反論がきそうだ。うーむ、確かに。これは難しい問題である。自分も小さな頃からどこでもドアが欲しいけど、技術的に難しそうで、いきなりどこでもドアを目指したら挫折確率は限りなく高まる。

ここでは、とにかく簡単そうで、なおかつ自分に役立つものか、あるいは笑えるものを作るのはどうでしょうか。サービスと考えるよりも、特定の用途に絞るといいかもしれない。とにかく、小さな分野にまで切り詰めると、そこまで難しくないものに収まると思う。ジョークアプリとかいいかも。簡単で、モチベーションが湧きそうだったらなんでもいい。

さて、だいたい絞れてきたら、それに必要な言語も現実的には複数まで絞られると思う。例えば、Webサービス系だったらPHP、Ruby,Pythonとか。どれを選ぶかに迷ったら、身近に教えてくれそうな人が得意な言語にすればいい。

ところがどっこい、そんな人は普通まわりにいないのが現実。もし周りに教えてくれる人がいたら、とても幸せだと思う。僕の場合、プログラマの知り合いは皆無だったので、入門書籍が豊富な言語という基準で選びました。

ちなみに、たまたまプログラマの知り合いがいたとして、その人にお勧めの言語を聞くとします。十中八九、その人は自分の好きな言語に誘導します。別に自分が作りたいものに必要な言語であれば丁度いいのですが、下手すれば、モバイルアプリ作りたいのにWebサービスしか作れない言語から始めるといいよというアドバイスをもらうかもしれない。注意。

例えば、僕がPHPやってた時に相談を受けた時は、「PHPでWebサービスするのが最初はいいよ、htmlもcssも基本だし。」と誘導尋問してました。最近はiOSアプリ作っているので、「今ならiPhoneアプリだよ。Xcodeが凄く使いやすいし、アンドロイドみたいにいろんな機種に対応しなくてよいから楽だよ。」とか誘導します。

僕の場合、なんで誘導するかというと、単純に知り合いが興味を持ってるならプログラム仲間を増やすチャンスだと目をぎらつかせからです。まあ、熱心に教えてくれる人がいて、Web系でも作りたいもののアイデアがあるとか、どっちでもよい場合は臨機応変に判断すればOK。

とりあえず、言語(技術)から選んで、そこを出発点にすると挫折確率が高まるので注意。

ようやく、自分のやる気が出て、なおかつ簡単な作るモノのアイデアと、言語も決まったとします。ここで、次にぶち当たる壁は、こういう動作をさせたいけど、そもそもなにを勉強すればいいか検討もつかないというジレンマです。

ここは難しい。ここは詳しい人が近くにいると凄く助かる。検索ワードを教えてくれるだけでも仏様のように感謝したくなる。でも、そんなラッキーな境遇にはいないのが現実。こんな時に、技術書を複数買っていると役に立つ。

慣れてくるとネットで検索したほうが早いけど、初期段階では網羅的に方法論を書いている入門者はもの凄い力を発揮します。技術書は高いけど、似たような内容のものを何冊も買うと挫折確率が低くなる。もしお金がなくて、都内に住んでたら大型書店で立ち読みでもいい。

ここのポイントは、自分がこういう動作をさせたいという目的があるので、それについて書いている箇所を数冊の本から探し当てるのです。数冊買っても全部読む必要はなくて、必要な時に串刺し検索みたいにピンポイントで解説してるかを探し当てる。辞書的に使う。

さらに、同じ技術の解説でも、最初はいろいろな角度から解説してくれると一冊目で理解できなくても、三冊目ぐらいで分かる可能性が高いので数冊あると挫折確率がまた低くなる。せっかく実装させたい動作がはっきりして、学習意欲が高まったのにやり方がわからないのはもったいない。

どうしても分からなければ、出来る限り内容を詳しく書いて、誰かが答えてくれるかもという願いを込めて掲示板で質問するしかない。ところがどっこい、頑張って詳しく内容を書いても誰も答えてくれない確率が高いので、自分で検索したり、本を横断したほうが近道だったりします。

最後に、挫折確率を下げるやり方として、なんでも適当におおざっぱに進めていくのがよい。細かい部分は後から修正するという信念で、とにかく最小限の機能に絞って動くものを、デザインはひどくてもよいから早く作ると。

コードも汚くてよいから、動けばよいという哲学で進めると、ここでもまた挫折確率が低くなる。綺麗なコードに書き直すとか、そういうのは後々勉強すればよいので、はやくリリースさせるのを優先する。次は次はというテンポを作って、途中で止まっちゃわないように。

大抵の人の最初の壁となるのは、if構文とかループとか基礎的なプログラミング構文でさえもない。環境構築であったり、サーバへのアップ方法であったり。iPhoneアプリだったらXcodeの使い方であったり、Developer登録であったり、実機への転送方法であったりする。

こういう事は、実際にその都度、検索しながら覚えていくしかない。基礎をすっ飛ばして、こんなやり方で後から困らないの?と心配になるかもしれない。でも、技術的な事を心配する前に、その他の要素で挫折する可能性は限りなく高い。

そもそも、最初の段階で、これをまず覚えて、これも重要でと、あれこれ考えるとめんどくさくなって挫折すると思います。

基礎固めや発展的な知識は慣れてくるとそのうち興味が湧いてきて、自分からいろいろと知りたくなってくると思う。なので、最初はあまり心配せずに、ある程度興味を持ってきてから言語について学んだり、他人の書き方を参考にしたり、リファクタリングとかデザインパターンを学んだらいいと思う。

最後に、iPhoneアプリを始める人にお勧めの3冊を書いておきます。

「よくわかるiPhoneアプリ開発の教科書」
最初に読む本として最適。この本でとりあえず動くものが見れて、全体像が分かる。

「UIKit詳解リファレンス」
iPhoneの見た目の部分をどう実装するかの本。初心者の頃は手放せない。

「詳解Objective-C」
言語のリファレンスとして、辞書的に使う。

※番外
「iPhoneアプリ設計の極意」
UIデザイン、ユーザビリティを扱った海外で評判の本。翻訳も凄くいい。プログラミングは一切出てこないけど、UI設計の基礎知識をつけたり、知識の漏れを埋めるために凄くいい本。

サービスへの情熱と代替手段

サービスのアイデアを考える時、たくさんある中からどれにするかはみんな悩むと思う。悩んだ時は情熱を基準に選べばよいと考えるしだいであります。ビジネスモデルやマーケットもとても重要だけど、当人の情熱とは比較できない。

感情的な部分と、論理的な理由でなぜそう思うようになったか書いてみる。最初に感情的な理由から。

よいサービスを作るのには労力も時間もかかる。情熱がないと、強力な競合が出てきた時や、周りが理解してくれない時、なかなか収益源が見つからない時に、やる気をなくして違う事に移ると思うのである。

お金が儲からないと食っていけないけど、逆にお金がなくなって日銭稼ぎに他の仕事をしたとしても辞めたくないものとか、今の仕事を続けながら作った貴重な時間でやりたいぐらいの情熱を持つものがよいと思う。どうせ軌道に乗るまで時間かかるし。

また、お金よりも自分の情熱をモチベーションにしたほうがやる気も生産性も全然違う。もし途中で辞める事が物理的にできない状況でも、モチベーションがなくなると生産性は極端に下がるから、どうせいいものはできない。

自分はグルーポン系サービスのアラートサービスを2010年の12月から2011年の3月まで作ってました。もちろん、当時はやる気モリモリで毎日開発していたのだけど、思い描いていたような機能を搭載している類似サービスが出現した時にぴたりとやる気がなくなってしまった。

今思えば、自分が死ぬほど欲しいサービスというよりも、これが流行りそうだから誰かが作る前に早く作ろうという気持ちが強かった。

最初は、なんかWebサービス作りたいけどなにかよいアイデアないかな考えていました。マッシュアップアワードのAPIリストを眺めて、流行りそうなサービスを思いついたから作ったという経緯。それもYipitという海外のサービスのパクリが始まり。まあ、アイデアをパクる事は問題ないのだけど。

思い返すと日本でも絶対こういうサービスが出るから、早く作ろうという焦りみたいな気持ちが強かった。似たようなアイデアで、もっと上手に作ってくる競合が出た時点で簡単に諦めちゃうというオチでした。

この時、次に作るサービスは絶対に自分が死ぬほど欲しいサービスを作ろうと思った。毎日そればっかり考えて時間とエネルギーを注ぎ込むから、競合が出てきても逆に自分の選択肢が増えて嬉しいぐらいの分野がいい。

というわけで、2011年の3月に次になにを作ろうか考えていた時の話をしてみる。

その時は、いわゆるスケールしそうなアイデアとか、自分が面白いと思ってスタートアップ的なウケもよさそうなものもいろいろ選択肢としてはそれなりにあったのだ。でも、最終的にiPhoneアプリという一見こじんまりしちゃうけど、情熱度が高いLisgoを作ることに決めたのです。

他のアイデアは面白そうだなぐらいのレベルだったけど、Lisgoのアイデアは、何が問題で、どこが不満で、代替手段をあれこれ試しているけど、こんなのとても面倒だという具体的な部分まで分かっていた。

冷静に何度も考えて、どのサービスが実現したら自分の生活が大きく変わって、毎日使うかとなると、これ作るしかないわとなって、iPhoneアプリ開発のためにMacを買ったのです。

というのも、僕は読書もオーディオブックも好きで、AudibleもKindleも結構初期から前から試していた。でも、オーディオブックは便利だけど、読んでいる途中に気になる箇所を目で確認できない。

本は目が疲れたり、物理的に目や手を使いたくない時にオーディオブックみたいに耳で聞く事に移行できないのが多いに不満だ。Kindleの読み上げ機能は一番ビジョンに近かったけど、オーディオブック業界に圧力かけられて、ほとんど使えない有様だった。

しょうがないから、Web記事をPCの読み上げソフトでMp3化したり、本を裁断して100冊以上自作オーディオブックを作ってiPodで聞いてたりした。でも、死ぬほど面倒だし、本を目で読みたい時に、今はどのページだっけと目で確認しないといけない。

何を言いたいかというと、他のサービスのアイデアは「ああ、いいの思いついた、あったら便利かもしれない。実際にこんなのあるか調べてみるか。」みたいなものだったのにたいして、Lisgoのアイデアはすでに自力で代替手段を試しまくっていて、本当に困っていた。

ちょっと話が飛ぶけど、自分が欲しいサービスの場合は凄く有利だ。自分の問題を解決するサービスになるので、自分が最初の熱心なユーザになれる。ここでは、自分がユーザだと問題が圧倒的に理解しやすいという当たり前の話はおいておいて、サービスの焦点の話をしたい。

他の人にも喜ばれるかや、自分以外の視点で考えるために顧客インタビューをしないといけないけど、この時に自分が欲しいものという軸がないと、どの意見を優先するか悩みまくると思う。

実のところ、ある程度ターゲットを絞ってもユーザが10人いたら10通りのニーズがあるから、それぞれ微妙に違うことを言う。Aさんにとって一番重要なことは、Bさんにとってはどうでもよかったりする。ニーズを絞ったつもりでも、さらに細分化されていく。この時、自分が望むものの軸がないと、どのユーザを優先するかの基準が見つけにくい。

一番お金が儲かりそうなユーザに絞るというのはよさそうな指標だけど、どれが最終的にスケールしそうか予測するのは不可能だし、前述した通り情熱がなくなると途中で諦める。

リーンスタートアップが普及して、ユーザの行動やニーズを観察しながらピボットするという考えが主流になってきている。ユーザの反応を見ながらサービスを作っていくと、毎日が細かいピボットの連続であると思います。どういう時にピボットするべきで、どういう時に諦めずに方針を貫くべきかはみんな悩むし、よくある質問だ。

これは、誰にもわからない。最終的に正否は結果で判断される。どうせ、自分で考えないといけない。

だから、情熱が継続して、ビジョンがあるものを作ったほうがいい。競合相手がいても、自分が凄く欲しいものだったら、なんらかの部分に不満がでて、そこが突破口にもなるし。

結局、世の中は不確実な事が多くて、どれだけ頑張っても様々な理由で上手くいかないことが多いと思う。その時の流行りとか、周りの意見はそこそこにして、自分が困っている事を解決できるようなものを作ればよいと思います。

※参考リンク
Before product-market fit, find passion-market fit
アラートポン

アンチVCとビジネスモデル

先日、どうにも寝付けないのでeCornerというスタンフォード大学が提供しているアプリのポッドキャストを聞いていた。適当に検索したらRailsを作ったDHHの1時間ぐらいの話があったので聞いてみたら、これが最高に面白かった。

だいたい1時間ぐらいの長さだけど、前回書いた「スモールビジネス対スタートアップ」という記事で紹介した紹介動画の元ネタであった。リーンスタートアップのドンであるスティーブ・ブランクがスタンフォードでしているリーンランチパッドという授業にDHHが講演にきた時の話。

あの短い動画の中でも挑発的な事を言っていたのだけど、最初から全部聞いてみるとあの動画の調子のまんまであった。ひたすらスタートアップのエコシステムを全否定するような感じの事を喋っている。

37Signalsの本でも書いているように、DHHはアンチVCである。簡単に説明すると、「人のお金で新しいビジネス作ろうとしても他人のお金だから適当に使う。結果、新しい事業を創出する上で最も難しく、重要な利益の最大化という部分を後回しに考える。VCのお金を受けるという事は時限爆弾のようなもので、収益化のリスクを先延ばしにする。」と言う事を言っていた。

これは、リーンスタートアップ関連でRunningLeanという素晴らしい本を書いているAshさんの主張と部分的に似ている。あの人も、ユーザがお金を払うかどうかは最も重要でクリティカルな部分なので、一番最初にそのリスクが高い部分を検証するべきだと書いていた。

どちらも、ユーザ数が増えて後からビジネスモデルを探そうという姿勢は博打すぎるから無謀だという主張をしている。僕はこの意見にとても納得できるのだけど、どちらもSaaSが基本のビジネスが専門で、BtoC向けのビジネスではそう上手くいくかは難しいのではないだろうか。

TwitterとかFacebookとか、ネットワーク効果が必要で、BtoCで、課金モデルだと最初からユーザから集まる見込みがなくて、広告モデルしかしっくりくる収益源があまりない場合はどうなんだろう。

ちなみに、ここで言いたいのは収益化の話であって、サービスがウケるかどうかを検証するのはネットワーク効果必要なサービスでも、ある程度最初から検証可能だと思う。

そもそも、お金が余っていて、そのお金を投資にまわして、どれかの新規事業が成功して経済が回るシステムというのもそれなりに合理性があるはずから現在の形ができているはずだ。バブルが弾けるとは言われていても、VCと、それを必要としているスタートアップが存在するのも、どちらにとっても必要性があるだろうし。

というような考えが普通だとは思うのだけど、そういう常識的な考えを真っ向から否定して、教授をしているスティーブ・ブランクも「こいつは二度と呼ばないでおこう」みたいな感じになっているのが笑える。

ちなみに、生活していくお金がないから投資を受けるんだとかっていう意見にたいしてDHHは、それなら今ある仕事を辞めないで、少ない時間を使って少ない時間でできる事から初めてビジネスを作れと言っていた。自分のお金で、自分の貴重な時間を使うから、最小のコストで最大の結果が出るように真剣になるはずだと。

後、投資を受けるのは事業拡大のスピードを必要とするからだという意見の反論も語っている。ユーザー数を増やすスピードを意識して、数年後に事業化の目処が立たないリスクを先延ばしにする行為はスピード以前に時間の浪費だろという感じだった。

そういえばこの前、ショーン・パーカーのインタビューを読んだ。シリコンバレーの投資モデルは欠陥があるからそのうち崩壊すると言った内容だった。

ポイントとしては、投資家のお金をもらったファウンダはIPOよりも最近は事業が買収される可能性のほうが高い。そして、事業買収で投資家に利益が出るなら問題ないのだけど、最近の買収は事業よりも創業者達を大企業に雇う目的の人材買収の目的が高い。

そこで、単純に創業者達がストックオプションとかよい待遇とかで引き抜かれ、事業そのものは潰して終了。創業者は自分の名前も売れて、大企業によい待遇で引き抜かれるけど、投資家はあまり得をしないというケースが増えてきている。

この話を読んでいると、最近起こった金融崩壊の原因である、トレーダー達のモラルハザード問題を思い出した。基本的に人間は自分の利益を最大化するように行動するので、リスクとリターンのバランスが崩れて、リスク過剰に取った方が得になった場合はそうする。

さて、こういう問題が起こると投資する人達が早晩いなくなるんじゃないかと危惧する人もいるかと思うけど、TechCrunsh創業者のマイケル・アリントンがこのトピックについて最近書いていた。

ロン・コンウェイとか著名な投資家が言うには、そもそも、大企業にタレント獲得の目的で買収されるスタートアップは、競争に負けたスタートアップだからあまり気にならないというスタンスらしい。多くの失敗したスタートアップの中で、少数が大成功してIPOしたり、投資家に利益が還元される買収をされれば問題ないので、そこまで重要じゃないと。

なるほど、そういう考え方だから問題ないのかと一瞬思ったけど、絶対に問題だと思っている投資家も多いだろうし、ここらへんは弁護士の書類にまたなんらかの条項が増えるんだろうか。

なんにせよ、これからはますます、最初から収益化を模索するスタートアップが増えて行くのだと思う。

そういうわけで、Lisgoもここ数ヶ月、持続可能なビジネスモデルをなんとかテストしようと頑張っていた。具体的にいうと、毎日使ってくれるファンは最低でも10人以上いたので、無料版出すと同時に、全体の2%ぐらいからだけでも月額課金のモデルが上手くいくかためそうとしていたのである。

現時点でのダウンロード数とかはどうでもよくて、むしろ無制限バージョンになる現在のバージョンは誰も買わない100ドルとかに設定して、しこしこ改良しながらアップルの審査を待っていた。

しかし、残念なことにアップルの審査でリジェクトされた。機能へのサブスクリプションだからという理由らしいけど、WebベースだとOKだったりと、実際の審査の基準は非常に曖昧だ。残念。しょうがないから、他の持続可能な収益源を模索するしかない。

@リンク
DHHのUnlearn Your MBA
http://ecorner.stanford.edu/authorMaterialInfo.html?mid=2334

マイク・アリントンのタレントBuyで買収されるスタートアップに対する記事
http://uncrunched.com/2011/12/05/gowalla-founders-v-gowalla-investors/

ランニング・リーン
http://www.runningleanhq.com/

15分で書くブログ

この前ブログを書いた時からしばらくたってしまった。ちょっと面白いアイデアを思いついたので今日は久々にブログを書いてみようと思う。面白いアイデアとは、ブログを書く時間に制約を与えるというものだ。

そもそも、なんでみんなブログを書かなくなるかというと、忙しいっていう以前にインセンティブの問題だと思う。例えば、マーケッターとかコンサルタントとかはそれなりにブログを書く理由があるわけです。宣伝になる。

でも、僕は今アプリをもくもく開発中なので、うーむ、ブログ書く時間あったら開発に時間さいたほうがいいんじゃないか。そもそも、Lisgoのユーザは現時点では英語圏の人達だから英語でブログを書かないといけないぞ。めんどくさないな、やめよう。となっていたわけです。

しかし、そういう日本語版を出す前になってから宣伝のためにブログを書き始めるかとか、就職に役立ちそうだから自分の技術力をアピールしつつ、開発チップをシェアするような記事を書こうかと考えていると、あまり無垢な気持ち筆が進まないのではと思い立った。

というのも、なんか思いついたのでそのまま書きなぐろうという感じの記事が結構面白い可能性があるのではと思ったのだ。あまり、ポールグレアムみたいに何回も回りの人に見てもらって、何回も書き直してっていうやり方はしんどくなって最初の一歩が出ないのではないかと思う。

それより、誤字脱字とかがあっても修正せずに、適当に書いたほうが楽である。そもそも、誰も自分のブログなんて真剣に読まないし、昔の記事になったらなおさら誰もさかのぼって読もうなんて人はいない。それなら、プロダクトのアップデートを繰り返すみたいに適当に書きまくって出荷、の繰り返しが実はいいのではないかともんもんと考えていた。

イメージとしては、ドワンゴの会長が書いているような、なんか頭の中を考えたそのまま文章にして、書き直すとかはあまりしてなさそうなのが面白いのではないでしょうか。

と、書いていたら、まったく制約を話からずれてしまったので、15分の制約の話をしてみる。僕は37Singalsの本が好きで、「制約は力なり」という合い言葉も好きです。なので、毎日Lisgoの開発時間も起きた直後から6時間だけと決めていて、制限時間がきたら絶対に途中で辞めるというやり方で毎日やっている。

この効果は絶大で、まったくストレスを感じないし、モチベーションが落ちないし、むしろ次の日へのモチベーションが上がり、こつこつとなぜか毎日続く。なんか村上春樹もこんな感じで小説を一年以上書き続けるみたいだ。

というわけで、こういうスタンスで気の向いた時に思った事をブログに、15分以内に書きなぐってアップするということをしてみようと思う。ここまで、だいたい14分以内に書けた。なので、記事の質は落ちるけれでも、そもそも誰も自分のブログ記事なんて気にもしないので問題ないと思う。

スモールビジネス 対 スタートアップ

今さっきコンバーチブルノートについて具体的に説明していた素晴らしい記事を読んだ。
シリコンバレーで起業した日本人が語るスタートアップガイド2――シリコンバレー流の資金調達

で、そこで出て来た、自己資金で行くべきか、外部資金を調達すべきかどうかっていう話が面白いと思いました。シリコンバレーのスタートアップ流でいうと「自己資金で行くなんて甘っちょろい事いってると勝てるわけないだろ」っていうのが基本だと思う。

そんな時よく出てくるのが、37signalsの例。自己資金だし、リモートでみんな仕事してたりするし、シリコンバレー流のやり方とは完全に離れている。ポールグレアムも「チームは絶対一緒の場所にいないと成功しない。37Signalsは例外だ」と例外発言してたし。

そこで、なんか寝れないからネットをさまよっていると、リーンスタートアップ界のドンこと、スティーブブランクの2分そこらの動画があった。Small Business vs. Startup with Steve Blank

この動画では、「みんなスモールビジネスとスタートアップを混同してる。どちらも名前がスタートアップ(起業)だから誤解するんだ。シリコンバレーのスタートアップはスケーラブルスタートアップなんだよ。ちなみに、よくプログラマー達は37Signalsの例があるじゃないかって反論するけど、彼らも最初はスケールできるモデルで初めてなかったし、スモールビジネス的な思想を持っているよね。」と語っている。

おそらくここのポイントは、最初からスケーラブルな思想ややり方でやってないよっていう所で、今はスケーラブルだという事には疑問の余地がないんだろう。

面白いから、似たようなキーワードで検索したら、そのものズバリ、スティーブブランクが、37SignalsのスターでありRailsの作者DHHに「スモールビジネスとスケーラブルなスタートアップの解釈の違いで質問があるけど、37signalsは今のやり方でビリオンダラーカンパニーになれると思うのかい?」って聞いている動画を発見。David Hansson(37Signals) A Small Business Can Be a Highly Profitable Company

そこで、DHHは「もちろんできる。」と言っている。「37signalsは300万人以上のユーザがいるけど、チームは15人。僕の中でのスケーラブルという定義は、従業員を増やしてその分利益を増やすモデルではない。従業員を増やさなくても利益を増やすのがスケールというものだ。利益の増加と従業員の増加が相関しないのがスケールという意味だと思う。」と答えている。

ちなみに、37signalsは”全部自己資金で儲かってるぜ!”シリーズというインタビュー記事集もやっている(笑) 有名どころとしては、Githubの記事がこちら。プロダクトの開発過程とか、いかに個々人が情熱を持って仕事を出来るかという考えを見るうえでもとても面白い記事。bootstrapped-profitable-proud-github

テクノロジ系スタートアップは1人のプログラマが大きな価値を生むので、元々スケーラブルだとは思うんだけど、外部資金をいれるかいなかって視点に立つとなかなか面白いと思った。どうでもいいけど、37signalsの例を出されてむかつくスティーブブランク師匠はスピードが足りないっていう視点で反論したほうがよいのではないだろうか。

まあ、最近メシ食った時に友達が、「法則とか定番化してみんなが当たり前だと信じてる事は全部疑うべきだ」と言ってたけど、これはその通りだなあと話してて思った。まあ、いろいろなノウハウを学ばないのもよくないけど、固定観念を持つのはよろしくないなと。

例えば、「初期段階はプログラマしかいらない」とか、「共同創業者を絶対見つける」とか、「出来るだけ外部資金入れるな」とか、「シンプルにしろ」とか、「早寝早起き」とか。

というどうでもよいことを考えてたら、また夜更かししてしまって早寝ができなかった。ツタヤで借りた漫画も延滞料金が発生する日なのに返せなかったし。ほんと、ツタヤの延滞料金はぼろい商売だと思う。

iOS Meetup Tokyoでプレゼンした

夏頃からiOS Meetup Tokyoという月一の勉強会に参加している。主に日本在住の外国人の開発者が集まる勉強会で、毎回15人程度が来て少人数のディスカッション形式。

昼に2時間近く勉強会して、その後行きたい人はご飯食べにいくので、少人数なのもあって仲良くなりやすい。

昨日、そこでTextToSpeechについてプレゼンしてきました。初めての英語のプレゼンで英語もなんか怪しいけど思ったよりウケた。よかった。たまたま、前列のピーターさんがiPhoneで途中から録画してくれてたのでアップ。

Lisgoのターゲットを絞って作り直すといい感じになってきた

Lisgoで忙しく、ブログを書いてなかったのだけど、リーンスタートアップジャパンの夜会も開催されるとのことで、久々にブログを書いてみる。前回のブログ記事からかなり前進したので、その過程を思い出しながら書くとします。

LisgoとはWeb記事を音声読み上げするiPhoneアプリで、ReadItLaterと連携させている。

目次
*ターゲットを絞って作り直して大正解
*コンセプトを絞ることによって熱心なユーザが見つかった

ターゲットを絞って作り直して大正解

以前のLisgoは大衆にアピールしようと、とりあえずブラウザを搭載して、そこから読み上げる記事を探してきてくれっていう仕様でした。しかし、これは最初の記事を取ってくるのが非常に使いづらい。

一ヶ月ほど前に、Zerobaseの石橋さんに相談して頂き、その時、自分が最初のユーザならまず自分をターゲットにして最小限の必要なものを作り、そこからアーリーアダプタのユーザへと降りて行けばよいと言われた。これが自分にとっては雷に打たれたかのように素晴らしいアドバイスでした。

というわけで、以前のコードを全部捨てて、自分がヘビーユーザであるReadItLaterという後で読むサービスのリストを取ってくるバージョンを最初から開発しなおした。もう、作る前からこういう仕様だったら圧倒的に使いやすくてシンプルなものになるのは明白だった。

しかし、この時悩んでいたのは、以前あったブラウザ機能を完全に捨てるなら別の名前のアプリとしてリリースしなおしたほうがいいのかってことでした。一応、Lisgoは英語学習者の人たちが最初に少ないながらも買ってくれていたので、この人たちはReadItLater連携アプリになったら使えなくならないかなあと夜も眠れない日々が続いたわけです。

まあ、とりあえずReadItLater連携作って、後からブラウザも付けたそうかなとか考えながら開発していき、結局リリース前にブラウザ機能はやはり完全に捨てることにした。なぜかというと、自分がまったくいらない機能だし、ReadItLater連携する人にもまったくいらない機能だからでした。

以前のユーザにはちょっと申し訳ないなあと思いつつReadItLater版をリリースしたものの、そもそもこの時点でLisgoを買ってくれた人は60人?ぐらいしかいなかったので、特にお怒りのメールはこなかった。おそらく使いにくいブラウザ機能で使い続けてくれていた人は数人ぐらいしかいなくて、その人たちはめんどくさくてメールもしないか、願わくばReadItLaterに登録して使ってくれたのかもしれない。

あまりユーザベースが少ないってのは方向転換がしやすいっていう利点はある。それでも、最初のブラウザ機能になれていて、ReadItlaterなんて知らんよっていうLisgoのファンを切り離す痛みは結構あって、悩んだ。その人たちがReadItLater使うと圧倒的に便利になるとは思うけど。

ちなみに、”TheLeanStartup”という話題の本をこの前読んだけど、マークザッカーバーグはFacebookが拡大するにつれ、初期の大学専用に使ってくれていたユーザの望むものから離れることはしょうがないけど心の痛みであると言ってたらしい。

さて、アプリとしては自分的に圧倒的に使いやすくなり、これは間違いなくイケルわと確信に満ちあふれながら毎日使い倒している毎日です。で、普通の企業が作っているならまだβテストの段階で、最小限の機能しかないのだけど、リリースする事が重要との事で、二週間ほど前にReadItLaterバージョンをリリースした。

次は、ターゲットを絞ったおかげで熱心に応援してくれるユーザが見つかったという話。

コンセプトを絞ることによって熱心なユーザが見つかった

さて、ReadItLaterと連携させることによってLisgoがシンプルで使いやすいものになったのですが、この訴状効果として、最初のターゲットも絞りやすくなった。

つまり、ReadItLaterユーザでTextToSpeech機能を使いたがっている人を探せばいいのである。とりあえずReadItLaterのサポートフォーラムでTextToSpeechで検索してみると、過去にこういうリクエストをしているトピックが6つぐらいあった。

しかし、ReadItLaterチームが「音声読み上げは間違いなく搭載するよ!」と返答しているものの、それは半年以上前の返信で未だに搭載される気配はない。というわけで、トピックに自ら返信してみると、とても興味を持ってくれて、TestFlightというiPhoneアプリのβテストができるサービスを介してテスターになってくれた。

というわけで、TestFlight経由でβテストをしてくれる人は14人ぐらいいるのだけど、毎日使ってくれる人はその中でも4人ぐらい。その人たちがとても有益な意見をくれたり、バグレポートをしてくれたり、どういう状況で使ってるかというのを教えてくれて死ぬほど開発の助けになってます。

特に、RunningLeanを先に読んでたのが大きい。この本には顧客には欲しい機能を聞いたり、製品を売り込むなと書いていて、ひたすら顧客の現在の問題や状況を詳しく聞いたり、アドバイスをもらうなど、ユーザへのインタビューの方法が先に学べたので、それがスカイプでボイスチャットする時や、メールでやりとりする時にとても役に立ってる。

中でも熱心にサポートしてくれる人は3、4人だけど、コンセプトを限定しているので、ちょっと自分のビジョンと違うなあというような提案はほぼ皆無。このブログポストと同じぐらい長いメールのやりとりを何度もやっておるわけです。ここまで時間を投資してくれてアドバイスや使用レポートをくれるというのは本当に素晴らしい。

Lisgoはまだ全然売れてないけど素晴らしい。やる気が出るという意味でモチベーションを高めまくってくださる。まあ、リリースしたけど普通ならまだβテストの段階であまり広まりすぎても困るので今はこのぐらいでちょうどよいかもしれない。

ちなみに、自分が最初のターゲットだから、一番重要なポイントや、どう開発していけばよいかはだいたい分かっているのだけど、それでも同じような趣向で使ってくれるユーザのくれる意見はとても参考になる。

自分だけでは気づかなかった問題とか、使い方。さらには、機能の提案も9割以上は自分の頭の中で考えた事があるものだけど、中には気づかないナイスアイデアをもらえたり、自分が重要だと思っていた機能はそれほど使われなさそうだというのが事前に分かったりする。

というわけで、細かいバグを潰したり、基本的なユーザビリティを高めたりとこつこつアップデートしてるんだけど、特に新しい機能を追加する時はよく意見をくれる人に聞いてみるというのも最近はやってみた。

RunningLeanのAsh師匠も機能追加する時は本当に慎重にしろっていってたし、誰も使わない機能を作らないように何度も考えたり、こういう機能を追加する予定だけどどうだろって聞くのは凄くいい。(どんな機能欲しいか聞くのはよろしくない)

ちなみに、顧客インタビューする時には、「これこれの機能が欲しい」と言われた時は、なんでその機能が欲しいかを出来る限り詳細に説明してもらって、本質的な欲求の部分を探るようにしている。

メールをする時によく書いているフレーズは、なんか機能の不満点や、改善の要求がある時は、出来る限り深くユーザーの事が知りたいから、その考えに至った状況を教えてくれって言っている。だいたい予想できるかもしれないけど、勘違いしたらまずいから詳しくなんでそうしてほしいのかを教えてくださいお願いといた感じで。そうすると、大抵の人は機能要求や、不満点と一緒に自分が陥っている状況を書いてくれるので聞き返す必要があまりない。

しかし、とっても重要なビジネスモデルが機能するかどうかを最初に顧客に聞くっていうのがまだ出来ていない。具体的にはヘビーに使う人のみ月額課金にするとかそういうものなんだけど、世の中のSaaSだとBtoBだからまあ課金モデルはありなんだけど、iPhoneアプリで一般ユーザ向けのもので月額課金なんて相当難易度高いし、ちょっと無理なんじゃないかとも思われるけど、とりあえず今度またスカイプでボイスチャットしてくれる人に聞いてみることにする。

クックパッド勉強会のデザイン手法がとても参考になった

先日、クックパッドの勉強会の抽選に受かったので行ってきた。スマートフォンのビジネスという内容であったけど、顧客開発的な手法がものすごく参考になって凄く勉強になった。

クックパッドは創業当初から顧客志向を体現してきた会社としていつも注目しております。また、ごちゃごちゃしないシンプルなデザインを突き詰めていたり、デザインにとても力を入れているのでずっと前から参考にしていたのだけど、今回はさらに深い内容が聞けて素晴らしかった。

定性的なインタビュー

サービス改善には定量的なデータだけでなく、定性的な顧客インタビューをとても重視してるらしい。サイトやアプリのデータマイニングから得られたデータを元に、現在の課題に近い属性のユーザを実際に社内に招いて、サイトやアプリを使ってもらうところを観察させてもらうとか。

いろいろと意見をくれるユーザもいるけれど、重要なのは、なぜその機能が欲しいかとか、なぜそこが不便なのかとか、お客が本当に求めているものを奥深くまで探ることだと教えてもらった。

特に、お客さんをよく理解して、優れた解決方法を実際に提案するのがプロの仕事だとその後の懇談会で教えてもらったのですが、ここはまさにリーンスタートアップの考え方と一致してるなあと思いました。顧客が問題を伝えるのは難しくないけど、解決方法を考えるのはサービス影響者だと。

あと、いろんなユーザの意見があったりすると、どれを最後に選択するかどう決めるんですかと聞いてみたら、やっぱり多数決より最後はリーダーが決めるのがよいらしい。このへんはいろいろな方法を試した現在の最善策だとか。

特に興味深かったのが、いろいろな意見がある時にどうしたらチームがぶれずにまとまるかっていう部分。ここは、共感というものが重要らしい。

たくさんの意見がある中で、Aさんという特定のユーザを取り出して、この人を喜ばせたいからオラに力を貸してくれ!みたいな感じでリーダーが引っ張るとまとまりやすいらしい。そうなると、チームのイメージも、このAさんならどう考えるだろうと思考が共有できるので、ぶれにくいとか。

ここらへんは、アップルの、「ジョブスならどうするか」っていう考えと似ていて面白かった。

ご意見ボックスとUIの改善

クックパッドのアプリには「ご意見ボックス」なるものがあるけど、これを実際にどうUI改善に使ってるかという話が面白かった。

ご意見ボックスは単純に、顧客の要望を集めるっていうイメージがつきそうだけど、ユーザの求めているものを実装していくとひどい製品が出来上がるのはよくある話。

これは定量データではなかなか把握できないユーザの行動データを分析するのにとても役立ってるみたいです。

例えば、アンドロイド版のUIでカテゴリ機能をつけたけど、ぱっと見ではその機能があるかどうか分かりにくかったと。カテゴリ機能があるのに、ご意見ボックスから「カテゴリ機能が欲しい」という要望が多かったとか。

そこで、UIの改善案を社内でいろいろ練って、いくつかの最終案を実際に試してみて、最終的にはご意見ボックスから「カテゴリ機能をつけて欲しい」という意見がこなくなったことでユーザがその機能を発見してくれていると数字でわかったと。

新しいUIを考える時のステップや、取捨選択も面白かった。テスト手法は、少人数→社内で実際にテスト→特定の顧客を社内に呼んで観察させてもらう→リリースみたいな、小さくちょっとづつ定性的にテストすると。

リーンスタートアップ本にも書いてあるけど、初期段階だと十分なユーザデータが取れないから、本当に絞ったユーザから定性的なインタビューをするのがベスト。その後、定量的なデータ分析は実際にリリースした後からじゃないとなかなかできない。

僕はiPhoneアプリを作ってるので、Appleの審査を通るまで実際にユーザに使ってもらうことができないなあと思ってたら、最近参加したIOS Meetup Tokyoで経験豊富な開発者の人にTestFlightといういいサービスがあるよと教えてもらった。

Appleの審査前にユーザのiPhoneにインストールしてテストしてもらえる優れものらしい。これはナイス。

リーンスタートアップの顧客を知る部分はUX手法とほぼ同じ

リーンスタートアップ関係のビデオとか記事とか読んでると、自然とUXの話題も出てくる。いろいろ読んでると、リーンスタートアップの顧客開発の、特に初期段階のインタビュー手法部分はUXの手法とそっくり。UXと非常に共通点が多いとAdaptivePath社の社長さんが言ってる。

ここで、「リーンスタートアップなんてくだらん、UXのパクリじゃないか」とファンノイマンがナッシュ均衡を馬鹿にしたみたいにディスらずに、Lean UXとか無理矢理な造語を新しく作ってチャンスとばかりにアピールしているところが凄い。

まあ、なにがいいたいかと言うと、リーンスタートアップの手法の日本語記事はまだあまりないので、最初の顧客インタビュー部分とか、顧客観察部分のノウハウを知りたければAdaptivePathとか出してる「Subject to Change」を読めばいいと思う。僕も半分ぐらい読んだけど、これはかなりいい本だと思います。

ただ、テク系スタートアップにつきものの、プログラム部分の開発手法の細かい部分とかはアジャイル開発の、「アジャイルサムライ」って本とか読むとよいはず。ここはUXではカバーできないはず。

そう考えると、リーンスタートアップってのは、とにかくいろんな手法のいい所をパクリまくって改良を重ねているノウハウという感じでしょうか。

唯一ユニークな部分は、既存の大企業と違って収益方法が確率してない不確実な時期に、ビジネスモデルの実験を定性的にも定量的にも繰り返す部分かもしれない。まあ、これもそんなに新しくないかもしれないので、なんか既存の手法で参考になるものがあれば教えてくれると嬉しいです。

ちなみに、本日、大々的に宣伝されているEric Riesのリーンスタートアップの本が発売しますが、これもはやく読んで紹介したいと思う。Running LeanのAshさんによれば、inovative accountingの部分が新しくて面白いとか。しかし、なんにつけても新しい造語をつけて凄そうな理論にする姿勢は多いに学ばないといけない。

Lisgoも、イノベーティブリーディングとか、スピードラーニング的なキャッチーな宣伝文句を考えるとよいかも。

※参考文献
UX の第一法則は「ユーザの声聞くべからず」


LeanUX『実践的 User Experience ワークショップ』まとめ